2010年06月16日

発生農家周辺の調査が始まった

発生農家周辺の調査が始まった

鹿児島大学 岡本嘉六



6月9日にワクチン接種区域外の都城市肉用牛肥育で発生が確認された後、翌日に西都市と日向市でも確認された。これを受けて開催された5月18日以降初めて開かれた6月13日の宮崎で発生して以降4回目の「第14回食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会」は、「感染経路究明については、人や車両の動き等の疫学関連情報を収集・分析する必要がある」とした上で、「家畜防疫員の立ち会いのもと、出荷前の健康確認や輸送時の消毒の徹底等」、「発生農場周辺の清浄性確認については、従来の農場からの異常畜の通報による方法に加えて、近隣の農場及び大規模肉用牛肥育農場については、それぞれ念のため抽出検体について精密検査及び臨床検査を実施する」とされた。そして、「280例目の農場からおおむね半径1km以内の11農場(いずれも口蹄疫特有の臨床症状なし)から検体を採材した」結果が6月15日に発表された「宮崎県における口蹄疫の疑い事例の280例目(都城市)周辺農場の遺伝子検査及び抗体検査結果について」であり、「遺伝子検査(PCR検査)及び抗体検査(ELISA)を実施し、両検査について、本日までに11農場の検体全てで陰性が確認されました」ということである。えびの市などの終息後の清浄確認検査を除いて、畜産関係者が待ち望んでいた前向きの検査が、最初の発生例以降初めて行われ、しかも、それが陰性であったことは、一筋の灯りとなるものである。4月20日に確認された第1症例以降発見された3月中の流行であった第6例の水牛(4月23日に確認)、第9例目のえびの市(4月28日に確認)を含めて宮崎県の調査報告は一切ない。そのため、様々な憶測、風評が飛び交っており、農家は「侵入を防ぐために何をしたらいいのか?」と戸惑ってきた。



積極的発生動向調査を全くせず、専ら発生農場からの報告(受身の調査)に頼ってきた某知事は、どのようにして広がっているのかが全く判らず、農家にどのような対策で防ぐことができるのかを説明してこなかった。もちろん、口蹄疫の侵入を個々の農家が完璧に防ぐことは不可能だが、それでも、個々の発生事例がどのようにして起きたのかを説明することは、農家が対策を積極的に行う励みとなるだろう。鳥や昆虫などによる機械的伝播の話まで飛び出しており、農家が対処できない課題を突きつけることで困惑させている。基本は、汚染した車両およびその積滞物と人間が運ぶ可能性が最も高いのであり、その対策を一層強化することである。比較的重要度が低い鳥や昆虫などの対策を模索することに集中して基本が疎かになってはならない。梅雨に入り、折角まいた石灰が雨で流されてしまう。門を閉じ(門がない場合はトラックと人間の高さに合わせた二重のロープを張る)、飼料の搬入を含む外来者に対しては、事前連絡を頼み、到着する直前に石灰を散布して迎えるなど、梅雨を乗り切る対策が必要である。これまでの大半の事例が人と物の移動によることを胆に銘じ、基本に忠実な対処をすべきである。



さて、折角始まった調査活動をさらに充実し、流行の実体を正確に把握した上で適確な措置を迅速に実行する体制を早急に整備しなければならない。下図に積極的発生動向調査の基本を示したが、この中で鍵となっているのは、ほとんどの防疫員(獣医師)が殺処分に回されてしまい、調査に当る要員がいないことである。国や他の県から派遣されても、某知事(対策本部長)の命令で調査活動ができなかった現実をどのように変えられるのか? これから全国から派遣される防疫員(獣医師)が某知事の命令で殺処分に回されるならば、宮崎だけでなく九州の畜産は壊滅するだろう。

口蹄1.jpg



まだまだ前途多難であるが、口蹄疫の広がりを止め、根絶の要である調査活動がようやく始まったことであるから、希望が見えてきた。

(岡本氏ブログより転載)
ニックネーム りぼん。パパ at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | メンテナンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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