2009年05月04日

世界の協力体制が問われる.

 「すべての国や人類全体のためになる解決策をみつけるため、国際社会が連帯する機会だ」。世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長の4月29日の声明の一節だ。

 新型インフルエンザワクチン開発と生産のため、米疾病対策センター(CDC)はメキシコを含めた感染国のウイルス株を入手。日本を含めた研究機関に送り、製薬会社の協力を得て大量生産にとりかかる準備を進めている。

 一方で、今回の新型インフルエンザ問題とは別に、こうした協力を拒否している国がアジアにある。

 インドネシアだ。

 今回、広がっているウイルスよりも強毒とされる、鳥インフルエンザウイルス検体の継続的な提供を2年前から拒否。鳥ウイルスを使ったワクチン製造が進まない状態になっている。

 「提供しても欧米の製薬会社の利潤追求に利用され、自分たちがワクチンを高く購入させられるのは不公平。ワクチンが回ってこない可能性すらある」というのが反発の理由だ。

 「ワクチン開発ができれば、インドネシアもその利益を享受できるのだから一刻も早く理解を得たい」(米国務省のロバート・ロフティス鳥・新型インフルエンザ担当特別代表)。

 溝は深い。

     ■

 ワクチン製造能力があるメーカーは世界に10社程度で先進国に集中している。生産能力は約5億人にすぎず、世界人口約66億人をまかなうにはほど遠い。

 新型インフルエンザが世界的に大流行(パンデミック)したら、先進国は自国民の生命を救うことを優先する、という途上国の危機感は強い。

 フィリピンに事務所を置くWHO西太平洋地域感染症対策官の葛西健さんは「途上国全体の問題を提起したインドネシアの主張にも一理ある」と国際協力の難しさを語る。その上で、「世界が一致してパンデミックのリスク評価にあたるため、ウイルス検体や株を共有できるシステムを作ることが重要だ」と話す。

 WHOは現在、途上国が医薬品に公平にアクセスできる透明な仕組みづくりを協議しているが、国際的な合意が得られるかの見通しは立っていない。

 ウイルスの広がりに国境はない。世界の協力体制が問われるなかで、「見えない敵」は韓国、香港といったアジアにも広がりを見せている。


ニックネーム りぼん。パパ at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 人畜共通感染症(ズーノーシス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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