2009年05月02日

新型インフルエンザの想定される感染ルート 

クローズアップ2009:新型(豚)インフル感染 起源特定「早急に」

新型インフルエンザの想定される感染ルート <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 メキシコと米国で猛威を振るう新型(豚)インフルエンザ。世界保健機関(WHO)などによると、メキシコでの感染者は1000人を超え、米国へも国境を越えて感染が拡大している。WHOが警戒度をフェーズ4と宣言すると、日本政府は国内侵入を食い止める水際対策など第1段階の行動計画の実施を迫られる。豚インフルエンザとはどんなウイルスなのか? 新型インフルエンザに対する日本の対策は万全か?【関東晋慈、永山悦子、清水健二】

 ◇人・鳥型と混ざり変異?
 新型(豚)インフルエンザへの集団感染で米疾病対策センターは、米国内での感染は人から人への感染と断定した。世界中で懸念されていた新型インフルエンザが発生した可能性を指摘する専門家もいる。

 従来予想されていた強毒性のH5N1型鳥インフルエンザではなく、なぜ一般にあまり知られていない豚インフルエンザで人への集団感染が起きたのか。

 在来の豚インフルエンザは元々水鳥に感染しているインフルエンザのA型ウイルスが過去に豚が感染し、定着している病気。水鳥を起源とするA型インフルエンザウイルスは豚や人のほか、馬や鯨、ミンク、鳥インフルエンザとして知られる鶏やウズラにも感染している。

 A型インフルエンザウイルスは表面に突き出ているたんぱく質の「H」(16種類)と「N」(9種類)の組み合わせで144種類あり、豚インフルエンザはそのうちのH1N1型が中心。1930年に米アイオワ州で見つかり、76、88年に米国で小規模な流行が報告され、計2人の死者が確認されている。現在も人の間で流行しているAソ連型と同じ型だが、基本的には人型と豚型は別のウイルスと考えられる。いずれも18年に世界で約4000万人が死亡したスペイン風邪から発生した。

 本来、人と動物、あるいは動物同士でウイルス感染することはほとんどないが、豚と人の間では濃厚に接触した場合、まれに感染することがある。人と豚でウイルスが付着する細胞に共通の部分を持っていることと、ウイルスが増殖するための体温が近いためだ。

 大槻公一・京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長(獣医微生物学)は「人由来の人型ウイルスと鳥由来の鳥型ウイルスが同時に感染した豚の体内で遺伝子が混ざり合い、人が免疫を持っていない新たなウイルスに変異した可能性が高い。豚インフルエンザは鳥インフルエンザよりも人に感染しやすい。今後の対策のためにも、今回の変異ウイルスの起源を早急に突き止め、特徴を知ることが重要」と話す。

 WHOインフルエンザ協力センターの田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長によると、今回の感染者から検出されたウイルスは人型ウイルスと鳥型ウイルスの遺伝子が混ざっている形跡があるという。田代氏は「変異したとしても新型(豚)インフルエンザウイルスは弱毒性で、強毒性のH5N1型ウイルスから変異すると考えられている新型インフルエンザほどの致死率にはならないだろう」と話している。

 ◇フェーズ4宣言なら、政府行動計画が始動
 WHOが警戒度を6段階で示す新型インフルエンザのパンデミック(大流行)・フェーズで、現在は「人から人への感染はないか、非常にまれ」なフェーズ3。WHOは「新型インフルエンザが小さな集団で発生」と判断するとフェーズ4を宣言する。

 日本のインフルエンザ対策は、2月に改定された行動計画と、個別の施策をまとめた10分野のガイドラインがベースになる。フェーズ4の新型インフルエンザ出現は、行動計画が示す第1段階(海外発生期)に当たる。首相以下の政府対策本部が設置される。

 初期対応で最も重要視されるのが、国内侵入を食い止める水際対策だ。発生国からの入国は、旅客機は4空港(成田、関西、中部、福岡)、客船は3港(横浜、神戸、関門)に集約化し、乗客に異常がみられれば検疫所で診察し、インフルエンザ発症の確認と同時に隔離する。直行便がある主要都市で発生し、感染者の搭乗・乗船が十分に予想される場合は、乗客全員をホテルなどに10日間留め置くことも想定する。

 だが、季節性人インフルエンザの潜伏期間は1〜4日程度あり、感染者が発症前に検疫所を通過する恐れもある。その場合、国民への感染を防ぐ手段として、ワクチンや抗インフルエンザ薬がある。


WHOによる新型インフルエンザ流行段階の分類 政府は世界に広がっている鳥インフルエンザが新型に変異する可能性が高いと考え、そのウイルスから作ったプレパンデミック(大流行前)ワクチンを3000万人分備蓄している。だが、今回確認されたH1N1型のウイルスには効果が見込めない可能性が高い。

 Aソ連型インフルエンザもH1N1型のウイルスだが、このワクチンは流行期を過ぎたため在庫はほとんどない。今から作っても完成は半年後。通常のワクチン製造と並行作業になるため大量生産も難しい。

 国内で感染者が出た場合は、各都道府県が発熱相談センターや発熱外来を設け、感染者を一般患者から切り離して隔離入院させることになっている。だが、毎日新聞の昨年5月の調査では、入院病床を確保できていたのは13府県だけで、医療体制は確立されていない。

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 ■流行段階別の主なインフルエンザ対策■(政府の行動計画から抜粋)

 【未発生期】

・プレパンデミックワクチンの事前接種開始

・抗インフルエンザ薬の備蓄(全国民の45%分)

 【第1段階(海外発生期)】

・首相以下の政府対策本部の設置

・発生国への渡航延期勧告

・発生国からの航空機・船舶の集約化

・帰国した有症者の一時隔離

・発生国の在外公館でのビザ発給停止

・パンデミックワクチンの製造開始

 【第2段階(国内発生早期】

・抗インフルエンザ薬の予防投与

・外出自粛、企業の業務縮小、学校の臨時休校要請

・離島などで発生した場合の「地域封じ込め」検討

・発熱外来などの整備、感染者の隔離入院

 【第3段階(感染拡大期・まん延期・回復期)】

・抗インフルエンザ薬の予防投与見合わせ

・パンデミックワクチンの接種

・発症者の入院措置中止、在宅療養への切り替え

・一時的な遺体安置所の確保

 【第4段階(小康期)】

・渡航自粛の順次縮小


ニックネーム りぼん。パパ at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 人畜共通感染症(ズーノーシス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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