2008年12月20日

万年青

オモト
 日本の古典植物といえば、まず万葉集に詠み込まれた植物はすべてそうであるが、栽培古典植物というとこのオモトやアサガオや万両・千両・カラタチバナ(百両)・ヤブコウジ(十両)、サクラソウなどがあげられる。中でもオモトは室町・戦国時代を生き抜いた思うとる以上に古くから鉢栽培が行われてきた植物である。今でも品種によっては何十万円もの高級品がある。また江戸時代から昭和期までに何度もボッ発した「ブーム」の時には、思うとる以上なんてもんじゃないとんでもない高値で取り引きされた品も現れた。私の知り合いにも高級オモトを育てている人がいて、お前もどうだと誘われたが、なんとも狭苦しい分野に感じられて手出しはしなかった。

 ところがお気の毒にもこのオモトに、あろうことかとんだ誤解から自ら手を下し…つまりその根をすり下ろし、その汁を盃一杯ほどぐっと飲み下したがために、あっという間に死亡してしまった女性がいる。正確な日時は不明であるが、複数の本には「46歳の元気な主婦が外出中に腹痛が起こったので、急いで帰宅するや、自培のオモトを鉢から引っこ抜き、その根茎をすりおろして盃一杯ほどの汁を飲み下したところ、すぐに容体が急変したので、家人が驚いて車に乗せて診療所へ行こうとしたが、主婦は車に乗るどころか、玄関を出たところで絶命した」とある。オモトには全草ロデイン、ロデキシンが含まれ、特に根には猛毒のロデイン(強心配糖体)が含まれているので、中毒すれば呼吸が激しくなり、やがて運動麻痺が起こるや全身が痙攣して死に至るとある。ということはこれはトリカブトに匹敵する速効性の植物毒ではないか。ソクラテスはドクニンジンエキスを飲んで、ゆっくり死んでいったといわれているが、オモトは心臓がパクパクして体が硬直したり、逆に激しく震えたりしてその死の過程は壮絶を極める。葉や根茎にこれほどの毒が含まれる位だからその赤い実にも毒は含まれていると思われる。今まで何度もこのオモトの実には出くわしてきたが、さすがに味見はしていない。その内どうしてもかじってみたくなったらその味のほどを正確にご報告しようと思う。生きていさえすればまだまだ新鮮にして神秘的な体験はいくらでもできるのだ。生きていさえすれば…

有毒部分:全草。特に根茎に毒成分が多い。根茎には強心配糖体のロデインを多く含み、葉には強心配糖体のロデキシンA、B、 Cとステロイド系サポニンのロデアサポニンを含んでいる。これらの中毒症状は呼吸がはげしくなったのちに、緩慢になって運動マヒに移り、全身のケイレンが起きて死亡する。
ニックネーム りぼん。パパ at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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