2008年08月13日

近交系デュロックブタにおけるSLAハプロタイプと抗体産生

近交系デュロックブタにおけるSLAハプロタイプと抗体産生
北川 均(岐阜大学応用生物科学部獣医内科学研究室),安藤麻子(東海大学医学部分子生命科学),
今枝紀明(岐阜県畜産研究所養豚研究部)
SLAハプロタイプが固定された近交系デュロック種のブタにおいて保有するSLAハプロタイプと抗体産生能の関係を検討した.このブタは,体格が若干小さい傾向にあるが,現在は家畜ブタとして生産されている.産子同士の交配により8世代を重ね,理論上の近交係数は78.5%である.
このブタの保有するSLAハプロタイプは2種類のみでありd1: SLA-1*w08an03/06an04, SLA-2*01an06, SLA-3*0101, DRB1*w11an01, DQB1*05an01とd2: SLA-1*an02, SLA-2*w10an01, SLA-3*05sml4, DRB1*0403, DQB1*0303である.
同居する一般ブタを対照として,近交系デュロックブタd1/d1ホモ,d1/d2へテロ,d2/d2ホモの各群において,豚丹毒生ワクチンおよび不活化ワクチン接種後の抗体価,さらにE型肝炎ウイルス(HEV)自然感染抗体価を比較した.抗体価の差は多重比較検定(Scheffe's F-test)を用いて検定した.
豚丹毒生ワクチン接種10週後の抗体価は,d1/d1ホモ, d1/d2へテロ, d2/d2ホモ,非近交系デュロックの順に高くなり,d1/d1ホモと非近交の間に有意差(P<0.05)が認められた.豚丹毒不活化ワクチン2回接種後(19週後)の抗体価は,d1/d1ホモが最も低く, d1/d2へテロとの間に有意差(P<0.05)が認められた.HEV自然感染抗体価は,月齢が進むにつれてHEV抗体価が低下する傾向にあるため,5〜7ヶ月齢のブタでハプロタイプ別にHEV抗体価を比較した(図).HEV抗体価はd1/d1ホモ, d1/d2へテロ, d2/d2ホモの順に高くなり,非近交系を除いた近交系3群の比較においてd1/d1ホモとd2/d2ホモの間に有意差(P<0.05)が認められた.
ワクチンおよびHEV抗体価は,月齢や移行抗体の有無,感染後の経過日数,曝露抗原量によって影響を受けるため安易に結論を導くことはできないが, d1/d1ホモのブタの抗体価が低い傾向が豚丹毒ワクチン接種後の抗体価(細菌に対する抗体価)とHEV自然感染抗体価(ウイルスに対する抗体価)の両方において得られた.したがって,近交系デュロックでは,保有するSLAハプロタイプによって細菌およびウイルスに対する抗体産生能が異なることが示唆された.これらの事実は,実験動物の免疫学的形質として興味深い所見であり,さらに抗病性に関連した免疫応答性とSLAハプロタイプとの相関の知見として畜産分野においても重要な所見であると考えられる.
ニックネーム りぼん。パパ at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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