2008年08月13日

豚のMHC領域の遺伝子解析と抗病性に関する研究

豚のMHC領域の遺伝子解析と抗病性に関する研究

研究の概要
家畜の感染症は、海外からの悪性伝染病の侵入不安や、人獣共通感染症に対する関心の高まりから、畜産物に対する社会的な不安を引き起こす原因となっている。
さらに、日和見感染症や複合感染症による呼吸器病・下痢等により生産効率の低下を招くだけでなく、抗生剤等のコストを含め、畜産経営に多大な影響を引き起こすことから、その対応は急務である。抗病性に優れた家畜を育種することは、感染症被害の軽減や医薬品等の大幅な削減が可能になると同時に、食料に対する消費者の「安心と安全」に応える
健全な家畜の生産に貢献するものである。

従って、抗病性に関する家畜の遺伝的能力の識別技術の開発は緊急の課題である。
これまで、ブタのゲノム解析については、農林水産先端技術研究所(STAFF 研究所)が農業生物資源研究所等の連携協力を得て、高密度遺伝子地図やBAC ライブラリーなどのツールや技術情報の蓄積において先導的な役割を担ってきた。一方、抗病性に関与するゲノム領域についての総合的な解析は世界的にも十分には行われていない。そこでSTAFF研究所は農業生物資源研究所と東海大学との共同研究で、豚のMHC領域の遺伝子解析と抗病性に関する研究を実施した。

T ブタの抗病性に関与するゲノム領域の解析
ブタの抗病性に関与するゲノム領域、特に、主要組織適合性抗原複合体(MHC:ブタではブタ白血球抗原SLA と呼ぶ)を中心とするゲノム領域の構造・機能解析を行うことにより、ブタの抗病性と関連のある遺伝子型を明らかにし、抗病性を有するブタの識別技術の開発を行う。

U 家畜ゲノム情報データベース等の整備
当事業で得られた家畜ゲノム情報等について、有機的にデータベース化し、抗病性マーカー育種への基盤となるシステムの開発を行う。

(研究担当者)
農林水産先端技術研究所研究第2部
田中麻衣子、新開浩樹、両角岳哉、土岐大輔、奥村直彦、美川亜弓、松本敏美、金谷奈保恵、鈴木恒平、小畑太郎

(推進責任者)
農業生物資源研究所動物科学研究領域家畜ゲノム研究ユニット
上西博英、小川智子、林武司、美川智、濱島紀之、粟田崇

東海大学医学部基礎医学系分子生命科学
安藤麻子

成果のまとめ

本研究において、SLA のゲノム構造がハプロタイプ毎に大きく異なることを明らかにすることで、商用ブタ品種集団等遺伝子型が未知な個体からなる集団において、SLA ハプロタイプを遺伝子の配列を用いて決定することの困難さについて明らかにした。
そこで、遺伝子そのもののタイピングの代替法として、MS マーカーのタイピング結果を再構成することによる、SLA ハプロタイプ決定方法を確立した。

この方法を用い、肺炎等、ブタの生産性に大きな影響を与える細菌性疾患のワクチンの接種時に、各ブタ個体における反応性がSLA のハプロタイプに大きく影響していることを実証した。また、いくつかのハプロタイプについては、SLA 領域がホモ化することで、ワクチンに対する反応性が有意に低下することも示した。

これらの知見は、特に他種類のワクチンに対する応答が低いSLA ハプロタイプを持つ個体の淘汰や、あるいはSLA の多様性が減退することによる集団全体としての抗病性低下の防止施策に役立つものと考えられる。

関連する論文・学会発表等(非常に多いので、ここでは、省略。)
ニックネーム りぼん。パパ at 02:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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