2008年08月13日

ブタ MHC -移植ドナーと実験動物としてのミニブタ利用-

ブタ MHC -移植ドナーと実験動物としてのミニブタ利用-

東海大学医学部 基礎医学系分子生命科学 安藤 麻子

ブタの MHC (SLA) 抗原型は、合成ペプチドやワクチン接種による抗体産生能、並びに悪性黒色腫の発症との相関が報告されており、さらにSLA 領域周辺には、背脂肪厚、産子数などの各種の経済形質がマップされるという特徴がある。

また、ブタは、解剖学的・生理学的にヒトとの類似性が高く、提供臓器不足の問題などから、ブタからヒトへの異種移植が注目されている。

特にミニブタは、同種、異種の臓器移植実験の他、肥満や循環器疾患、悪性黒色腫などの疾患モデル動物や、医療技術シミュレーションなどを目的とした実験動物として、種々の領域の医学教育、研究分野で用いられている。
我々は移植実験や再生医療などの実験動物として有用な SLA 純系ミニブタの開発と異種移植におけるSLA 抗原の関与の追求、並びに悪性黒色腫などの疾患感受性の解析を進めるために、SLA 領域のゲノム塩基配列決定による構造解析と DNA タイピングによるSLA 遺伝子の多型性解析を行っている。
SLA 領域の構造解析については、我々のグループとINRA 及び Sanger Inst.の共同研究により、最近2.4 Mb のSLA 全領域のゲノム塩基配列決定が完了した。
得られた塩基配列情報に基づき、ブタ-ヒト間のMHC 領域の遺伝子構成を比較したところ、MHC 遺伝子群の数や遺伝子構成は両種間で大きな違いが見られたが、多数の非MHC 遺伝子の遺伝子構成は、相互に高く保存されていた。
特にSLA クラス I 遺伝子は、SLA クラス I 領域内に古典的並びに非古典的クラス I遺伝子群の2つのクラスターから構成されており、HLA クラス I 遺伝子領域と比較して、両種間のMHC 遺伝子の遺伝子構成に大きな相違が見られた。
また、SLA 遺伝子の多型性解析については、SBT 法、PCR-RFLP 法、PCR-SSP法により、これまでにミニブタ4 品種を含む100 頭以上のブタについて、SLAクラス I と クラス II 遺伝子のタイピングを行ってきた。
さらに得られたクラス I 遺伝子のアリル配列情報を用いてα1, α2 ドメインのアミノ酸置換の選択圧を解析し、SLA クラス I 分子はHLA クラス I 分子と比較的類似した特徴を示すことが明らかになった。

また、DNA タイピングの結果に基づいた交配により、SLA タイプを固定した5 種類のハプロタイプを持つ2 品種のSLA 純系ブタを作成した。

これらのSLA タイプがホモのブタは、同種及び異種間の動物移植実
験、種々の抗原に対する免疫応答性の研究などに有用であると考えられる。
ニックネーム りぼん。パパ at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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