2008年08月12日

体細胞クローン技術によるGFP遺伝子導入ブタの作出

体細胞クローン技術によるGFP遺伝子導入ブタの作出

(小さい図表は、ダブルクリックすると、大きくなります)

[要約]
GFP遺伝子導入体細胞を作製し、体細胞の核移植によりGFP遺伝子導入体細胞クローンブタを作出した。GFP遺伝子導入ブタは殆どの組織でGFPシグナルを発現していることが確認された。また、順調に発育した2頭は繁殖能力を有していることが確認された。

[キーワード]ブタ、体細胞クローン、遺伝子組み換え、GFP遺伝子

[担当]静岡中小試・養豚研究スタッフ
[代表連絡先]電話0537-35-2291
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 受精卵への遺伝子導入による従来の遺伝子組換え技術には、成功率が非常に低く、遺伝子ノックアウトブタを作製できないという問題がある。ところが、細胞レベルで遺伝子操作を行い、遺伝子改変細胞の核移植によりクローンを作出すれば、遺伝子導入ブタを効率的に生産することができる。なぜならば、培養細胞への遺伝子導入は受精卵へのそれと比較して効率が良く、しかも、遺伝子導入が細胞レベルで確認できるからである。また、遺伝子ノックアウトブタの作出も可能となる。
 本研究では、遺伝子機能解析などに利用されているGreen fluorescent protein(GFP)遺伝子を体細胞に導入し、体細胞核移植により遺伝子組換えブタの作出を試みた。

[成果の内容・特徴]
1. 金華豚(4日齢)より体細胞を採取、増殖し、北里大学医学部との共同研究でGFP遺伝子導入体細胞を作製した。エレクトロポレーション法によりGFP遺伝子を導入し、G418(Neomycinアナログ)を用いて、GFP遺伝子が導入された細胞を薬剤選別した(スクリーニング細胞)。GFP遺伝子導入細胞の一部は、1個の細胞を半年間かけて増殖し、クローニングした(クローニング細胞)。クローニングにより、GFP遺伝子を確実に発現する均一な体細胞を得ることができる。また、クローニングはジーンターゲッティングにおいて必要とされる技術である。さらに、GFP遺伝子導入クローンブタの胎盤、臍帯細胞も核移植に用いた。
2. GFP遺伝子導入体細胞核を除核した体外成熟卵子に移植した。核移植110時間後の桑実胚あるいは胚盤胞への発生率は平均5.5%、そのうち57.4%の胚からGFPシグナルが検出された(表1)。
3. 桑実胚以上に発育したGFP遺伝子導入胚68個を11頭のレシピエントブタに移植した結果、スクリーニング細胞由来ブタ1頭、クローニング細胞由来ブタ2頭、クローンブタ胎盤細胞由来ブタ(リクローン)1頭、合計4頭のGFP遺伝子導入ブタが誕生した。このうち、クローニング細胞由来の1頭およびリクローンはそれぞれ生後2日および36日後に死亡した(表1)。死亡したクローンブタについては病理解剖するとともに、主要臓器の凍結切片を作製し、GFP発現の有無を確認した。
4. PCR解析の結果、誕生した体細胞クローンブタ全てからGFP遺伝子が検出され、GFP遺伝子の導入が確認された(図1)。誕生したGFP遺伝子導入ブタはいずれも紫外線を照射すると、蹄、鼻鏡、舌などから緑色蛍光が観察された(図2)。また、死亡した2頭について各組織の蛍光顕微鏡観察の結果、殆ど全ての細胞においてGFPシグナルが観察され、遺伝子が正常に機能していることが確認された(表2)。
5. 誕生したGFP遺伝子導入ブタ4頭のうち2頭は順調に発育(図3)、発情を発現、受胎し、正常に分娩した。


[成果の活用面・留意点]
1. 実験動物として活用できる可能性が高い。そのためには、GFPブタの特性を明らかにし、どのような実験に活用可能であるかを示すことが必要である。
2. 同様な手法を用いることにより、GFP以外の遺伝子の導入やノックアウトブタを作出することが可能である。


[具体的データ]

GFP導入細胞クローン豚.gif

PCR解析.jpg

図2  紫外線GFP.jpg

(ブログ管理人の注:全体がブルーなのは、紫外線蛍光管のためなので、気にしないでください。それより、4脚のひづめ、舌、鼻、が、蛍光グリーンに光っているところに、注目してください。GFP(Green fluorescent protein)遺伝子クローン豚って、緑色蛍光タンパク質遺伝子組み換え豚ってことですので。。。)
2  GFP.gif

図3  GFP  発育.gif

[その他]
研究課題名:豚クローン技術の確立と利用に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:河原崎達雄、大竹正剛、土屋聖子、柴田昌利

(農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所より転載。)

ニックネーム りぼん。パパ at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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