2008年07月04日

東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻比較病態生理学教室論文より引用。

実験 1. 自律神経機能変化の評価法の検討
 まず、心拍変動解析(CVR-R, パワースペクトラル解析)ならびに血圧変動解析(パワースペクトラル解析)を用いた自律神経機能の評価法を検討した。ゲッチンゲン系雄ミニブタ10頭を用いて安静下で心電図、血圧および呼吸曲線の同時記録を行った。それぞれの指標の周期変動成分を明らかにするために高速フーリエ変換(FFT)を行いパワースペクトルを得た。その結果、心拍変動のスペクトルにおいては高周波数領域に呼吸変動のスペクトルと一致する帯域が観察された。また、副交感神経遮断薬の投与を行うと心拍変動パワースペクトルのパワー値が、広範な周波数帯域にわたって全体的に低下する一方、交感神経遮断薬の投与によっては、低周波数領域のパワーが低下した。これらの結果から、自律神経機能を評価する上で必要となる帯域の設定を、ミニブタでは、LFを0.01〜0.07Hz、HFを0.07〜1.0HZとすることが適当であることが明らかになった。この際、HFは副交感神経活動の、LF/HFは自律神経活動のバランスを表す指標として有用であることがミニブタにおいても示唆された。


 さらに、ホルター心電計による長時間(24hr)の心電図記録を用いて、心拍数の日内変動を検討した。その結果、心拍数は明期に高く暗期に低い明瞭な日内変動を示すことが明らかになった。タイム-ドメイン法(CVR-R)とフリークエンシー-ドメイン法(パワースペクトラル解析)の心拍変動解析を行った結果、暗期においては副交感神経活動が高まることがこのような日内変動が生じることの主要な要因であることが推察された。



実験 2. 同居及び別居による自律神経機能変化
 実験1において検討した自律神経活動評価法を用いて、ミニブタ同士の同居・別居といった飼育環境の変化が自律神経活動に及ぼす影響を明らかにする実験を行った。ゲッチンゲン系ミニブタの成豚雄6頭を2頭ずつ、3組に分け、同居前単独飼育時、同居中(3週間)及び再び単独飼育(2週間)に戻した際の長時間心電図記録をホルター心電計を用いて行った。その際、すべての個体で心電図記録を行った。その結果、無麻酔・無拘束下の単独飼育時においては、実験1と同様に、心拍数と自律神経活動において明瞭な日内変動が認められた。さらに、単独飼育から同居飼育へと飼育環境を変化させるとすべての個体で、心拍数の増加、心拍数及び自律神経活動(HF)の日内変動の消失、及び副交感神経活動の低下が生じることが明らかとなった。また、明期及び暗期を通じてLF/HF比が同居前に比べて増大したことから、同居によって交感神経活動が高まることが示唆された。このような自律神経機能の変化は、これまでに報告されている血漿内コルチゾールの変化と一致した。同居開始から2週間目においては、心拍数及びHF成分、LF/HF比などの自律神経活動指標に明らかな日内変動の回復が認められた。特に、暗期におけるHF成分の有意な上昇は、副交感神経活動が活発になってきたことを示唆した。次いで同居開始から3週間目に別居させたところ、別居当日においては、同居以前に比べて、心拍数および自律神経活動のいずれにも有意な差が認められなかった。この傾向はその後2週間にわたって維持されていた。このことから、同居後の別居は、同居時に比べてミニブタの自律神経機能に及ぼす影響が小さいものと考えられた。また、単独飼育されていたミニブタにおいて、他のブタとの同居は上述したように、自律神経機能に多大な影響を及ぼすことが明ら かとなったが、これらの変化は2週間後には、元のレベルに回復したことから、動物にとって新たな環境に対する適応が成立したものと考えられた。


 これまでのストレスに関する研究の多くは、コルチゾール濃度の測定や免疫系応答の評価により成されてきた。しかしながら、これらの方法は採血の為のハンドリングやカニュレーションなどの手術を伴うため非侵襲的にストレスの影響を評価することは困難であり、多くの場合行動学的な観察に頼らざるを得なかった。本研究で用いた心拍変動解析は心電図を記録することだけで非侵襲的に実施することが可能であることから、簡便で有用な自律神経評価法であると考えられた。また、今回用いた心拍変動解析による自律神経活動の評価法は、無麻酔・無拘束下のミニブタのストレス状況における自律神経活動の評価法として有用であることが示された。さらに、ミニブタの自律神経機能の日内変動は、ヒトのパターンに類似していることが明らかになった。このことは、ストレスに対する自律神経応答の、ヒトとの類似性に関する研究の礎として意義深いものと思われた。
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この論文によれば、ミニブタとの同居開始後、2週間が、大事な時期と言うことらしい。つまり、親ブタとある程度、過ごせば、その後は、単頭飼いでも、大丈夫だが、最低2週間は、兄弟姉妹と同居した方が良いらしい。

ニックネーム りぼん。パパ at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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